大腸癌の基礎知識

10年でおよそ2倍に増えた大腸癌ですが、初期症状のうちに発見できれば生存率は高く、それほど怖いものではありません。問題は、末期に近い状態になるまで放置してしまうことです。こうなってしまうと、もはや有効な治療法がなくなってしまうこともあります。

大腸癌は治るガンですが、症状の進行度によって見込みは異なるのです。初期症状なら完治できることが増えた現在でも、進行するとまだまだ予後は厳しいままです。

増加傾向にある原因は、何と言っても食事の欧米化が大きく関わっています。遺伝的要因よりも環境的な要因による影響が強いガンであり、日本人の食事の変化が罹患リスクを高める大きな原因になっているのです。具体的には、肉中心の食事や野菜不足、脂肪やたんぱく質の過剰摂取などが問題です。

食物繊維をサプリメントで多く摂取することで、予防になるどころかリスク要因となってしまうことも研究によって明らかにされています。やはし普段の食事の中から適切な栄養を得ることが予防のためには大切です。大腸癌の原因となる食事になっていないかどうか、普段の生活を見直してみるところから予防が始まります。

近いうちに、胃がんや肺がんを抜いて日本人の間でもっとも深刻なガンになるという予測も立てられています。もはや他人事ではありませんので、原因や予防にも関心を持ってほしいと思います。

大腸癌は部位によって、直腸がんやS字結腸がんなどに分けられます。それぞれに症状の現われ方や、手術を行った場合の後遺症の出方が異なりますので、まったく同じ性質を持っているわけではありません。部位による特徴についても理解しておくとよいでしょう。特に、結腸がんは増加傾向にあります。

性別や年齢で見てみると、男性は女性のおよそ2倍の罹患率となっており、特に直腸がんにおいて男女差が大きく出ています。年齢では、50歳ごろから罹患率が上昇していきます。

治療には内視鏡的治療、手術、放射線治療、抗がん剤があり、患者さんの希望や症状の進行度、転移の程度、全身状態などを考慮して決められます。大腸癌を治る疾患であるとするためには、できるだけ早いステージのうちに治療しておく必要があります。ステージが進行するほど、予後の再発の危険性も高まります。

再発や転移は、予後を厳しくする厄介な問題です。初期症状のうちに病変を切除してしまえば、このような問題は生じないことが多いため、どれだけ早い時期に見つけられるかがポイントとなります。その鍵となるのが検診で、大腸癌検診では便潜血検査を行います。スクリーニング検査として優れた効果を発揮しますので、毎年受診しておくようにしましょう。

治るうちに発見するためには、できれば血便や便通異常と言った兆候が現われる前に発見しておきたいものです。初期症状はほとんど無兆候であるため、はっきり異変が見られるようになったころには、すでに進行している可能性が高いためです。また、血便があっても痔と勘違いしてしまうといったように、特徴的な症状ではないため、気付いても病院に行くのが遅れがちになってしまうという問題もあります。

大腸癌の肉眼的分類

大腸癌の肉眼的分類とは、X線検査や内視鏡検査によって得られる肉眼的な特徴による分類で、0型から5型までに分かれます。0型は表在型で、1型は腫瘤型、2型は潰瘍限局型、3型が潰瘍浸潤型、4型がびまん浸潤型、5型は分類不能です。

浸潤の深さによって分類する方法もあります。大腸壁は粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜に分かれているのですが、粘膜下層までの浸潤にとどまっているものが早期がん、それ以上の深達度のものを進行がんと呼びます。

病理組織学的に分類すると、腺がんや扁平上皮がん、腺扁平上皮がんに分かれます。このうち、大部分が腺がんとなっています。

食事との関係が深い大腸癌

食生活の欧米化によって増加傾向にあることからも分かるように、食事との関連性が深い性質を持っています。反対に言えば、食事に気をつけることによって予防することもできるということです。 遺伝による影響よりも、食事や運動といった生活習慣からの影響の方が大きいため、心がけ次第で予防することは十分に可能なのです。

また、検診も広く行われているため、早期発見も十分に望むことができ、絶望的な病気ではありません。 しかし、毎年多くの方が大腸癌で亡くなっているという事実もあります。打つ手がない病気ではない一方で、決してあなどれるものでもないのです。もはや身近な病気になっていますので、他人事だと思わないことが大切です。

大腸癌の生存率は高い

死亡数は罹患数のおよそ半数程度となっています。このことは、生存率の高さを示しています。一言でガンと言っても、部位によって生存率はまったく異なります。たとえば、難治がんの代表格とされているすい臓がんの場合には、罹患すれば高い確率で死亡することから、死亡数と罹患数の間に大きな違いがありません。

そうした生存率の低い種類のものと比べると、大腸癌は希望をもって治療ができます。もっとも、症状の進行度によって生存率は大きく変貌しますので、早期発見ができなければ命を落とすことも多くなりますが、全体を通して比較的予後が良い傾向にあると言ってよいでしょう。

大腸癌検診は毎年の受診が必要

去年異常がないと診断されたのだから、しばらくの間は安心だと思っている方もいるでしょう。しかし、異常なしという診断は確定的に健康であることが保障されているという意味ではありません。特に異常が見つからなかったという意味なのです。

そのため、検診で発見されなかったものの、実は初期症状であるというケースもあります。そのため、定期的に受診しておくことによって知らないうちに進行してしまうことを防ぐことが期待できます。

検診で広く行われている便潜血検査の場合、便に血が混ざらなければ発見することはできません。大腸癌があれば必ず症状として出血を伴うわけではありませんので、時には見逃されてしまうこともあるのです。手軽に受けることができる検査である反面、精度は100%というわけではありませんので、毎年の受診によって早期発見の確率を高めることができます。

なお、便潜血検査とは、便を採取して医療機関に提出することによって行います。内視鏡や画像診断のように体への負担がかかるものではありませんので、定期的に受診しておきましょう。

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